コラムブログ「だが興味は持て」

毎週土曜日(水曜日)更新

「交渉」に興味を持て

朝起きて ラジオを片耳に支度をしていると

配偶者がのそり起きてきて あまり呂律の回らない口調でこう言った

 

「『性交渉』って 変な言葉だよね」

 

筆者は加齢のせいか 最近とみに早起きしてしまう体質になっており

配偶者より目覚めが早く 故にその後彼女が何を見て何を考えているのかは知らないが

 

とりあえず嫁の言う事にはあまり疑問を持たず(夫婦円満の秘訣でもある)

寝起きで回りきってない頭を使う事なく「確かに」と同意をした

 

「確かに」と 確かに同意ではあるがあまり意味を持たない音を発した後で

おそらく筆者のセンサーに触れたのであろう「性交渉」という言葉について考え始めた

 

「性交渉」という言葉は おせっせ自体を指す言葉である

 

しかし「交渉」というのは 性技に至るそれまでの過程

例えば「ナンパ」とか「口説き」とか それを交渉と呼んで然るべきである

 

そこまで考えが至った瞬間 今度こそ意味を持つ「確かに」が口から漏れた

気の無い返事をかき消すかのように漏れた(夫婦円満の秘訣でもある)

 

完全に目が覚めた筆者は「『交渉』ってのは営業の仕事だけど『性交渉』は現場仕事だもんね 自分で交渉もして現場仕事もやるって事だもんね 確かにおかしいよね」

 

と 筆者以上に寝惚けているであろう配偶者にまくし立てた

嫁はコーヒーを飲み干して特に何も言う事なく仕事に向かった

 

残された者の不安と恍惚 ふたつ我にあり

 

って感じの筆者は この「性交渉」という言葉について更に考える事になる

 

数行前でまくし立てた伏線回収展開になるのであるが

筆者は過去に現場仕事の営業と作業員をしていた経験がある

 

厳密に言うと 営業の仕事をドロップアウトして現場に配置換えされた経験がある

 

現場仕事というのは よほど人手が足りないかフリーランスでない限り

仕事を取ってくる営業 その仕事を実際に行う作業員 という区分けが成されている

 

ただし 仕事や立場上の区分けがあったとしても

営業は現場の仕事をある程度まで分かっていないと話にならないし

 

現場作業員が行う実際の施工によって 施主の満足度も変わってくる

つまり現場作業がそのまま未来の営業に繋がる事も起こりうるのだ

 

こう考えると「性交渉」という言葉のカラクリも解けてくるというもので

 

「ナンパ」や「口説き」も 交接行為のイメージが無ければ上手くいくものではないし

ベッドインだって上手くいくかどうかは自己営業次第という事なのだろう

 

「行為」そのものが「交渉」であると この言葉は間接的に伝えてくれていたのだ

 

「深いな……」という 極めて浅い感想を漏らしながら(この日の筆者は漏らしてばかりだ)

 

改めて 問題提起という形で話題を持ち込む配偶者

それを深読みして結論を導き出し こうして世間に発出する筆者の相関図について思うと

 

これぞ正しく「営業」と「作業員」の関係性なのではないかと考える

 

これを世間では「似た者夫婦」と呼ぶ(夫婦円満の秘訣でもある)