コラムブログ「だが興味は持て」

毎週土曜日(水曜日)更新

「東京に住む」に興味を持て

夢を追うとかそんな大それたものではないのだが

自分にもああなりたいこうなりたいと思っていた時期は確かにあった筈で

 

それは環境によって薄れていったり濃くなったりする

身近に好きな事を楽しんでやっている人が居れば それは濃度が増す理由になりうる

 

広島で書店員という名のフリーターをやっていた時には

周りには音楽やら舞台をやっている人が沢山居て 筆者もそれに触発されていた

 

自分も「何者か」になりたいという 今思えば浅はかかつ純粋な動機である

 

それが高じたりこじれたりして 結局は自作の官能小説を朗読するという

全く何者にもなれていない芸を幾度か披露する事になるのだがそれは置いといて

 

さてはて夢を追う人の集積地と言えば日本でいうと東京である

 

古今東西東京を題材とした作品は数限り無く存在しており

そのものズバリ「東京」というタイトルの曲もある(筆者の中では桑田佳祐のイメージだ)

 

東京事変」「東京プリン」「東京ビンゴボンゴダイナマイトジャパン」だとか

乃木坂46」「阿佐ヶ谷姉妹」「中野腐女シスターズ」等の名前を見るたびに

 

東京というのはどういった場所なのかという興味も湧いてくる事だろう

 

そうこう夢想している間にフリーターから正社員へと没落した筆者は

人権をあまり考えてくれない会社から全国各地へと出張を命じられる

 

生まれ育った愛すべき広島の地を離れざるを得ず アパートも解約という

いわゆる「住所不定有職期」であり 筆者の自律神経は徐々に失調していく事となる

 

とはいえ悪い事ばかりでもなく 固定観念がこびりついた保守的な考え方は

色々な土地で色々な人と触れ合う毎に少しずつ変化をしていった

 

中でも東京出張中の出来事は大きかったと思う

行くたびに1カ月程度は滞在していたので 結果半年くらいは住んでいたような気がする

 

文化の集積地というかねてからの想像は全く外れていなかった

渋谷・新宿・池袋 行くところ行くところに独自の文化が育まれているような感覚

 

まるで別の都市のようなのに電車で10分もすれば行けてしまうのが不思議で

休みの度に出かけては舌鼓を打ち 着実に腹囲への脂肪を蓄えていった

 

それと同時に「こんなところに住むもんじゃねえな」という気持ちも湧いて出てきた

 

とにかくどこに行っても人が多い いつ乗っても電車は混んでいる

首都高は大体激烈に渋滞している 箱崎ジャンクションの名前はもう見たくもない

 

根っからの田舎者である筆者にしてみればどれも悪い意味でのカルチャーショックであり

現在に至るまでの自動車運転恐怖症を植えつけられる原因となったとすら言ってもいい

 

そうなると俄然興味があるのが 皆さん何故東京に住む事を決めたのか?である

 

確かに文化や物質は沢山ある 人が多いから比例して仕事の数も多い

しかしそれらが住みやすさを上回る要因になるとは筆者には到底思えないのだ

 

考え方はそれぞれなので異論を挟む余地は幾らでもあると思う

筆者が何故姫路に住んでいるのかも成り行きが大きいのではっきりとは応えられない

 

東京に住んでいる友人が数人居る 親友と呼んでも差支えないくらいだ

しかし彼らが何故東京近郊に居を構えているのかは聞いた事がない

 

ひょっとしたら彼らも成り行きなのかもしれないし

夢を追って東京に出てきているのかもしれない それは聞いてみないと分からない

 

ただしこの場合の「夢」というのは この記事の冒頭に挙げたような

音楽やら舞台やらという概念めいたものだけを指しているのではない

 

「こういう仕事がしたい」「こういう事を学びたい」

憧れ という言葉に言い換えても良いのかもしれない それだって夢のひとつである

 

思えば自分の進路に対してナァナァな決め方しかしてこなかった人生だ

もしかしたら筆者は 何かについて憧れを持つことが人より少ないのかもしれない

 

あったとしても「エロ漫画みたいな恋がしたい」とかその程度のものである

ひょんな事から時を止めるストップウォッチを拾ったりしないかなっていうくらいで

 

憧れをもって具体的に自分の人生を描く

それはとても素晴らしい事であるが 少なくとも筆者の性分には合っていない

 

東京の土地が肌にむずがゆかったのは つまり夢と欲望の滞留した東京の空気に

自分がむせ返ってしまっただけの話だったのだろう

 

「何者かになりたい」と思って 結果的にエロ朗読家になってしまうという

それくらいが筆者には丁度良かったのかもしれない

 

そしてそんな性分に抗うかのように 今日もしがないコラムブログを書いている