コラムブログ「だが興味は持て」

気が向いたら書く!

「スタンダード」に興味を持て

これは完全に親からの影響であるのだが 筆者のミニマリズム傾向についてである

 

学生時代やその後の本屋勤務時代には 買い込んだCDや本・漫画をずらっと並べ

まるで倉庫に住んでいるようだと揶揄された我が住まいだったのだが

 

一年の大半を出張に費やすプチホームレス時代を経て

スーツケース一つで生活を闊歩する術を身に着けた その身軽さたるや比肩しがたし

 

それとほとんど時を同じくして 父方の祖母が亡くなった

 

祖父はそうでも無かったのだが祖母は典型的な物を捨てられない人であり

二束三文にもなりやしない着物や家財道具を山のように残して逝ってしまっていた

 

その遺品整理の大変さは筆舌に尽くしがたいものであったと聞く

そんなこんなもあり 筆者の母上は自分の荷物をとことんまでに減らすと決めたのだった

 

服はハンガーラックにかかるだけ 本やDVDも手荷物としてまとめられる程度

日中はラジオを聴きながら家事炊事を行い夜はカープ中継に一喜一憂をしている

 

今更ながら録画していた「テセウスの船」を一気見してその感想を息子にLINEしてくる

そんな我が母上(今年で還暦)である

 

たまに実家に帰っても 自分の部屋はおろか筆者の荷物は一切残っていない

ただひとつ歯ブラシだけは置いてあるのだが何故それだけというレベルの話だ

 

知らない人の家のようで正直全く落ち着かないので筆者も大人しくカープ中継を観ている

 

そんな母上の血脈を受け継ぐ筆者 ミニマリズムへの憧れは果てなく感じている

と同時に父方の血脈すなわち物欲とががっちりスクラムを組んで今日の筆者が形成される

 

時折発生するミニマル生活への波が今来ている という話を今回は致したい

 

さてミニマリストの代名詞といえばかのスティーブ・ジョブズである

判断力を無駄遣いしない為にいつも同じ服を着ていたというのはあまりに有名だ

 

イッセイミヤケの黒ニットにリーバイスの501を着こなして

足元はニューバランスの992という最早誰しもが知るあのスタイルが完成された

 

(あれくらいの富豪ならまだしも一般人が真似すると財布に痛い一式である)

 

そんなジョブズちゃんほど極端な思想を持ってはいなくとも

自分の中の「スタンダード」は定めておくべきだと筆者は思っている

 

この「スタンダード」というのはとても広い意味合いを指している

 

例えば朝マックに行ったら必ずハッシュポテトを2個食べるのも筆者のスタンダードだ

夜マックではダブルチーズバーガーを倍バーガーにして肉4枚で食べるのも同様だ

 

雨が降ったらLLビーンかブランドストーンのレインブーツを履く

夏になったらTシャツとハーフパンツにサンダル それもスタンダードだと言っていい

 

火・木・土・日曜日の朝には洗濯をする それ以外の朝は筋トレに励む

出来ているかは別として理想像のスタンダードを作って人生をコントロールしたい

 

ジョブズちゃんほどの意思決定の場が筆者にあるとは到底思えないが

体力不足を補う為にも脳ミソは極力使いたくないので決め事は多い

 

日本語には「判で押した生活」という悪口もあるが

個人差あれどそれくらいの安寧を享受したいというのが時代の流れではなかろうか

 

(都会を離れて田舎で暮らす そんなのがクローズアップされるのもその証左であるが

実際には田舎生活も結構忙しく特に目的地までの移動時間は都会の比にならない)

 

しかし困ったことに そんなスタンダードを愛してミニマルに生活したい波と

物欲に任せてセンサーぶち壊し爆アゲショッピングの波とが交互に来てしまうのが問題

 

スタンダードを旗印にしておきながら いつ着るのか分からない服を持っているし

靴や帽子やカバンなどもやたら持っている 全部物欲期の筆者がポチリした結果である

 

とはいえ物欲に身を任せられるというのも 気力体力が余っているからだと言えよう

 

今の筆者は疲れている 疲れている末のミニマル思想に希望を見出している

何に疲れているのか イレギュラーに満ちた日々の仕事についてである

 

そういった仕事の無駄を無くすためにジョブズは尽力していた筈なのだが

実際には無駄な仕事は消えていないし寧ろ増えているように感じる

 

そうして生み出されたストレスを霧消させる為にマクドへ足を運び

ダブルチーズバーガーを倍バーガーにして肉4枚で食べる日々が続いていく

 

腹周りにミニマルとは程遠い無駄を湛えて生きている

これを減らすための新たなスタンダードを作る作業に勤しまなければならない

 

もう全てを投げ捨てて田舎にでも移住したい気分にもなるのだが

実際には田舎生活も結構忙しく特に目的地までの移動時間は都会の比にならない