コラムブログ「だが興味は持て」

気が向いたら書く!

「忘れる」に興味を持て

「忘れっぽい」という言葉では片付けにくいくらいに

記憶力に対する欠陥がある 昔からずっとそうであるが自覚したのは最近だ

 

特に人から伝えられた事を整理して頭に留めておくのが大の苦手である

すぐさまメモをしておかないと 別のどうでもいい事に押し出されてすぐ忘れる

 

何なら自分で思いついた/考えた事を覚えておくのも不得手なので

ブログに書きたかったネタも幾つか忘却の彼方に飛ばしてしまっている

 

アレを書いておけば もっと人気の出る記事になっただろうなという後悔すら忘れ

もはや何を忘れてしまったのかも忘れている始末なので 具体例は出てこないのがつらい

 

決して悪気は無いのだが「約束を破りやすい」体質ではあるので

頼まれ事の大小を問わず 出来るものはすぐにやってしまうようにしている

 

そうすると「仕事が早いですね!」という好意の反応を貰うことがたまにある

 

こっちとしてはある意味仕方なく 早めの仕事を心掛けているだけなので

褒められるのは嬉しいのだが その反面ごっついプレッシャーもかかる

 

「仕事が早い人」というハードルの上がった状態を前提とした上で

その後の頼まれ事をもし忘れでもすれば ハードルは急降下してギロチンになるだろう

 

そんな重圧には到底耐えられない 虚弱メンタル忘れんぼ大明神である筆者は

「急ぎではないので」と書いてある依頼であってもすぐに取り掛かるのだ

 

ここでふと「急ぎではないので」に関して 過去のとある出来事があるのでご紹介しよう

 

(記憶力悪いあるあるなのだが 昔のイヤな記憶はずっと覚えているものだ)

 

高校三年生の時分 自意識過剰と被害妄想の沼からようやく這い出ようとする頃

友人との付き合いを素直に受け入れられるぐらいになった 遅めの青春18歳であった

 

話の流れから「好きな女子は誰なのか」というトークテーマになり

嘘をつくのも下手な筆者は Tさん(仮名)が好きだという事をつい自白してしまった

 

それについて特に囃し立てられるでもなく むしろ筆者の恋路の応援の流れになり

ついには「恋の成就をサポートしよう計画」が立ち上がってしまっていた

 

ルールは簡単 筆者とTさんを含む何名かほどで遊びに行き

道中のゲーセン・ボーリング等で筆者がTさんに格好いいところを見せて

 

その流れでTさんに告白 エスコートが功を奏し二人はハッピーエンドへ……

 

……という 今考えると視聴覚室の壁くらい穴が沢山ある計画である

そもそもそんなもんで女が落ちると思うか なめんな18歳の俺たちよ

 

もう説明するまでもないと思うが 筆者はゲームもボーリングも大下手くそであり

大緊張の中この日に叩き出したボーリングの人生最低スコア「38」は今も燦然と輝いている

 

そんなこんなで 友人一同演出してくれた付け焼刃の格好よさが結局付け焼きにならず

あれよあれよで人生初のスタバに入り 告白タイムという流れになった

 

いつの間にか友人たちは店外待機しており 2人きりになった筆者とTさん

お膳立てのプレッシャーと碌に飲めやしないブラックコーヒーの苦さを飲み込み

 

「お返事はいつでもいいので……」と 精一杯の告白をしたところ

 

その場ですぐに「ごめんなさい」と Tさんから返事が返ってきた

 

失恋のショックよりも「『返事はいつでもいい』って言ったのに」という

心構えが出来る前に奇襲を受けたみたいな動揺でテンションがおかしくなった筆者は

 

手元のコーヒーに 備え付けコーナーの牛乳をたっぷり入れて

ヤケ酒のように煽るという精一杯のギャグで 何とか悲しい姿を演出しないようにしていた

 

……仕事のメールに添えられた優しさの「急ぎではありませんので」を見る度に

あの日の筆者の「お返事はいつでもいいので」を思い出してしまう

 

幾ら記憶力に難があろうと 忘れられるものではあるまいが

肝心のTさんの顔があんまり思い出せないのが 不義理というか都合がいいというか